リレーエッセイ
2021.04.06
第20回 学部8期生 川村奈美さん
私は学部8期生の川村奈美と申します。卒業後上京して助産師免許を取得し、都内の病院で5年間助産師として働いた後、大学に勤務して8年になります。現在は教員として複数の施設に行き臨床を見る機会が多くあります。医療に携わる人、医療を学ぶ人、それぞれの熱い眼差し、熱意にはいつも心を打たれます。看護師の働き方、看護観に触れると、知識や技能、専門的態度を身につけるだけでなく、プロとしての自覚を持つことによって生じる看護の可能性の広がり、深さや面白みを感じます。また、他職種との双方の理解は更なる強みになります。それぞれの専門性を活かして看護はどうあるべきかを考えさせられます。
さて、東京は刺激的な都市です。やりたいことが次々に沸き、興味があれば何でもできる場所です。旅行や音楽、スポーツなど、やりたいことを意のままにしてきました。今の楽しみは、2020年に開催される東京オリンピックです。東京で人に会うと、最初の話題は出身地。山形と答えると「さくらんぼ!」と勢いよく返されます。通な方は芋煮!と言います。コミュニケーションは大体ここから始まります。村の出身ですので、東京に来るまでは田舎が嫌でたまりませんでしたが、山形の良さを感じる日々、最近では地元での生活を恋しく思っています。
大学で働きながら大学院に通っていた頃、昼夜なく過ごし、時間にも心にも余裕のない生活を送っていました。多くのことが次々に過ぎていく日々で、空を見上げることもほとんどありませんでした。余裕が出てふと見渡すと、東京は緑に溢れています。交代で様々な花が咲き、緑が茂ります。いまだに新たな発見があります。例えば最近では幹が特徴の百日紅。今年鮮やかなピンクの花が咲いているのを発見し、これがサルスベリの花…!?意識して見ると、民家の軒下や施設で驚くほど見かけます。今まで気づかなかった自分にびっくり、このような調子です。通勤路である駒沢公園を横切りながら、草花の色づきや香りに季節を感じて生活できることは贅沢であり、心が和んで豊かになったような気持ちになります。年齢のせいでしょうか。